クリーンテックニュース2019年第8号
トピック一覧
グリッド計画
カリフォルニア州の3大電力会社が山火事対策のための計画停電(PSPS)を実行
CAISOのインバランスマーケットが拡大し、累計での経費削減効果が約$65に到達
輸送関連
連邦とCA州の自動車の排出ガスをめぐる訴訟に、トヨタ、GM、クライスラーを含む15の自動車メーカーが連邦側として参画
CARBが2019-2020年度のクリーン輸送インセンティブに計$533Mを投じる計画を公表
CaFCPがバスのゼロエミッション化に向けたステップを示したロードマップを公表
再生可能エネルギー
SB Energyが計1.7GW以上になる5つの太陽光発電プロジェクトを他社から買収
これから開催されるイベント
1.グリッド計画
1.1カリフォルニア州の3大電力会社が山火事対策のための計画停電(PSPS)を実行
カリフォルニア州の3大私営電力会社は、10月、火災リスクの高い期間における山火事を防ぐことを目的とする計画停電(PSPS: Public Safety Power Shutoff)を、広い地域の系統で実施した。下表にPSPSの実施事例が示されているが、PSPSについては政府関係者や一般の人々の間で広く物議を醸しており批判も出ている。特に百万人規模で影響を及ぼしたPG&E社の停電は強い批判を受けた。Gavin Newsom州知事は、「今回、許容しがたい範囲及び期間の停電となったのは、PG&E社が長年に渡り公衆の安全よりも利益を優先してきたこと、誤った管理を行ってきたこと、適切な火災時の安全策や防火対策をとっていなかったこと、重要なインフラ整備を怠ってきたことが要因である」と述べている。カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC: California Public Utilities Commission)は、10月のPSPSに対応し、当該電力会社が現行の規制に遵守していたかを確認するための調査を開始した。CPUCは調査結果をもとに「PSPSの前、その最中、後の電力会社の行動を評価」する報告書を公表する見込みである。
October PSPS Events
の詳細については以下のリンク参照:
https://www.cpuc.ca.gov/deenergization/
1.2 CAISOのインバランスマーケットが拡大し、累計での経費削減効果が約$65に到達
カリフォルニア州独立系統運用機関(CAISO: California Independent System Operator)は、2019年第3四半期の西部のエネルギーインバランスマーケット(EIM: Energy Imbalance Market)の結果報告書を公表した。同報告書によると、2019年第3四半期は、EIMに参加する米国の8州およびカナダで$64.81Mの経費削減を達成し、2014年11月の開始後の累積で、経費削減額は$801.7Mになったと報告している。EIMは米国の8州とカナダの一部エリアにおいてリアルタイム電力市場を提供しており、参画する系統運用事業者は、発電電力を近隣地域にて使用することができる。その結果、経費削減やより柔軟な再生可能エネルギーの統合利用が可能となる。2022年までに参画者は増加し、西部系統地域の信頼度協議会であるWECC(Western Electricity Coordinating Council)管轄範囲全体の77%がEIMに入ることから、当該市場がもたらす利益は継続的に増加すると見込まれる。以下のマップにEIMの参画者および参画予定者が示されている。
https://www.westerneim.com/Documents/ISO-EIMBenefitsReportQ3-2019.pdf
2.輸送関連
2.1 連邦とCA州の自動車の排出ガスをめぐる訴訟に、トヨタ、GM、クライスラーを含む15の自動車メーカーが連邦側として参画
カリフォルニア州とトランプ政権の間で激化している自動車の排気ガス基準をめぐる争いは、ゼネラルモーターズ、フィアットクライスラー、トヨタを含む15の自動車メーカーが連邦政府側として、カリフォルニア州が独自に自動車の排気ガス基準を設定できないようにする訴訟に参加した。CARBは、同15社を「トランプ大統領側についた団体」だと表現している。この動きは、カリフォルニア大気資源委員会(CARB)とホンダ、フォード、BMW、フォルクスワーゲンとの間で7月に結ばれた、排気ガス中の汚染物質を独自に制限できる州の権限を認める合意に真っ向から対立している。 連邦環境保護局(EPA)は、9月に大気浄化法(Clean Air Act)が定めるCARBの権利を正式に取り消し、カリフォルニア州が独自の基準を適用する能力を否定した。これに応じ、カリフォルニア州は23の他の州とともに、権利の取消に異議を申し立て、EPAを提訴している。詳細は以下のリンク参照:
https://ww2.arb.ca.gov/resources/documents/carb-waiver-timeline
2.2 CARBが2019-2020年度のクリーン輸送インセンティブに計$533Mを投じる計画を公表
カリフォルニア州大気資源委員会(CARB: California Air Resources Board)は、クリーン輸送に対するインセンティブ(Clean Transportation Incentives)の2019-20年度の財政計画を公表した。当該計画によると、州のクリーン自動車支援プログラムに対して$533Mの財政支援を行う予定である。このうち$485Mについては、州の排出権取引プログラムが財源であり、残りの$48Mについては、Air Quality Improvementプログラムが財源となる。クリーン自動車支援プログラムの内訳のうち主なものは、電気自動車購入者へのリベートを提供するClean Vehicle Rebate Project(CVRP)に$238M、クリーントラック・バス・オフロード用貨物車等の大型車へのサポートとして$182Mが提供される。下表で、当該財政支援計画に示された各プロジェクトの予算配分を示す。
CARBの財政支援計画について詳細は以下のリンク参照:
2.3 CaFCPがバスのゼロエミッション化に向けたステップを示したロードマップを公表
カリフォルニア州燃料電池パートナーシップ(CaFCP: California Fuel Cell Partnership)は、バスのゼロエミッション化に向けたステップの詳細を示したロードマップ「Fuel Cell Electric Buses(FCEB) Road Map」を公表した。当該ロードマップは、CARBが2018年後半に採用し、2040年までに公共交通機関が運用するバスの排出ゼロ化を定めた規制「Clean Innovative Transit regulation」をクリアするためのステップが示されている。また、当該規制では、2029年以降に新たに調達する全てのバスについて、バッテリー駆動か燃料電池駆動とすることが定められている。そのため、当該ロードマップには燃料電池バスおよび水素インフラをサポートするために必要な11 の「Essential Action Steps」が示されている。下表に示されている通り、CaFCPは燃料電池バスについて、2020年に100台、2029年には全体の25%以上と、購入数が確実に増えていくことを想定している。
https://cafcp.org/sites/default/files/2019-CaFCP-FCEB-Road-Map.pdf
3.再生可能エネルギー
3.1 SB Energyが計1.7GW以上になる5つの太陽光発電プロジェクトを他社から買収
SoftBank Groupの子会社であるSB Energyは、容量にして1.7GW以上となる米国の5つの太陽光発電プロジェクトをIntersect Power社より買収すると発表した。SB Energy社は、カリフォルニア州とテキサス州に位置する太陽光発電施設を建設、所有、運用することととなり、建設は2020年始めにも開始される。当該プロジェクトはすでに複数の顧客向けに電力とグリーン電力証書(REC: Renewable Energy Certificate)を販売する長期の契約を締結している。
4.これから開催されるイベント
Energy Storage Summit 2019
12月3日から12月4日
GTM Research
https://www.greentechmedia.com/events/live/energy-storage-summit
Cleantech x Japan
12月6日
Plug and Play Tech Center, NEDO, JETRO
https://www.plugandplaytechcenter.com/events/cleantech-x-japan/
VerdeXchange 2020
1月26日から1月28日
VerdeXchange
Intersolar North America 2020
2020年2月4日から2月6日