2018年度 第1号
Date: May 15, 2018
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グリッド計画

 

CPUC2030年の温暖化ガス削減目標を達成する新たな計画(IRP: integrated resource planning)を採用

 

  • カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC: California Public Utilities Commission)は、2030年の温暖化ガス削減目標を達成するための統合資源計画(IRP: integrated resource planning)を採用した。IRPは以前の長期調達計画フレームワーク(Long Term Procurement)に代わるもので、2年サイクルで構成されている。1年目は、電力部門の温暖化ガス排出目標を分析し、電力系統における最適な電源の組み合わせを決定する。2年目に、CPUCが小売事業者(load serving entities)の計画を確認し、温暖化ガス削減目標を達成できるよう電源の調達を承認する。CPUCは電力部門における温暖化ガス目標について、2030年までに42MMTという数値を採用しているが、これは2015年比で50%の削減、1990年比で61%の削減となる。42MMTという数値目標を達成するためには、既存の政策に加えて新たなアクションを取る必要があり、また再生可能エネルギー利用割合基準(RPS: Renewable Portfolio Standard)は目標値50%を上回る53-57%を2030年までに達成する必要が出てくる可能性がある。CPUCは当該計画の全体的な方向性を示すため、2030年において推奨される発電源の組み合わせに関する情報を提供しており、これには10,200MWの新たな需要家サイドにおける再生可能エネルギーと、(すでに義務付けされている1,325MWとは別に)2,000MWのエネルギー貯蔵システムが含まれている。下図にはLSE(小売事業者)が達成すべき新たな容量要件が示されている。

CPUCによるIRP採用発表の全文は以下リンク参照:

http://docs.cpuc.ca.gov/PublishedDocs/Published/G000/M209/K709/209709519.PDF

 

 

政策・規制関連

 

    CARBが、排出権取引制度のオークション収益に関する年次報告書を公表

 

  • カリフォルニア州大気資源委員会(CARB: California Air Resources Board)は、排出権取引制度のオークション収益に関する年次報告書(Annual Report on Cap and Trade Auction Proceeds)を公表した。当該報告書では、収益をどのように投資しているか関する詳細が紹介されている。オークション収益は州の温暖化ガス削減ファンド(Greenhouse Gas Reduction Fund)に移され、州議会の決定を経て、州政府関連機関が管理する各種プログラムに配分される。2014年以降、合計61億ドルが全17機関に配分され、そのうち20億ドルが現在進行中または完了済みのプロジェクトに配分された。配分を受けたプログラムの一例は以下のとおり。
    • 「カリフォルニア州高速鉄道プロジェクト(California High Speed Rail Project)」向けに約$1.3B
    • CARBの「低炭素輸送プログラム(Low Carbon Transportation Program)」に$1.266B。クリーン車へのリベート$508.4Mを含む。
    • カリフォルニア州運輸局(California State Transportation Agency)の「交通システム・都市間鉄道設備投資プログラム(Transit and Intercity Rail Capital Program)」向けに$574.6M
    • 戦略的成長委員会(Strategic Growth Council)の「低価格の住宅と持続可能なコミュニティプログラム(Affordable Housing and Sustainable Communities Program)」向けに$915M

下図に示されている通り、実行されたプロジェクトによって23MMT以上のCO2相当の温暖化ガスが削減され、加えて高速鉄道プロジェクトでは最初の50年間の運用において59MMT分のCO2相当の温暖化ガスが削減されると期待されている。

 

当該年次報告書の全文は以下リンク参照:

https://www.arb.ca.gov/cc/capandtrade/auctionproceeds/2018_cci_annual_report.pdf

 

 

エネルギー貯蔵システム

 

アリゾナ州の公営電力会社が、First Solar社と提携して全米最大規模のエネルギー貯蔵システムを構築すると発表

 

  • アリゾナ州の公営電力会社であるAPS(Arizona Public Service)社はFirst Solar社と提携し、全米で最大規模のエネルギー貯蔵システムを構築すると発表した。当該プロジェクトは65MWの太陽光発電と50MWのエネルギー貯蔵システムで構成されており、ピーク需要が発生する夏季の午後3時から8時の間において、APSが消費者の電力需要に応じた供給を可能とすることを目的としている。施設の運用開始は2021年、15年間の電力購入契約を通じて、制御可能な再生可能エネルギーを供給する予定となっている。本件のプレスリリースは以下のリンク参照:

https://www.aps.com/en/ourcompany/news/latestnews/Pages/aps-first-solar-partner-on-arizonas-largest-battery-storage-project.aspx

 

 

SDG&E社が、166MWのエネルギー貯蔵システムを設置する提案書をCPUCに提出

 

  • SDG&E(San Diego Gas & Electric)社は、166MWの分散型エネルギー貯蔵システムを設置する提案書をCPUCに提出した。このエネルギー貯蔵システムは、警察署や消防署など緊急時の稼働が不可欠な設備に設置され、グリッドで停電が発生した際にも当施設の稼働を可能にする。当該提案書には、高齢者福祉施設等の非営利施設に対してインセンティブを提供するEnergy Storage Customer Program Pilotの実施についても記載されている。当該パイロットプロジェクトは、AB2514で定められた1,325MWに追加して500MWのエネルギー貯蔵システム調達を義務付けるAB2868(2016年に州知事が署名)への対応として提案されている。本件に関する詳細は以下のリンク参照:

https://www.sdge.com/sites/default/files/regulatory/AB%202868%20application%20Final%20Draft.pdf

 

 

電気自動車

   カリフォルニア大学デービス校が、加州における新車購入者の購買行動分析結果を公表

    

  • カリフォルニア大学デービス校の Institute of Transportation Studiesの研究者が、新車購入者の購買行動分析を行った。カリフォルニア州では電気自動車および充電ステーションの普及を促進する政策を実施し、インセンティブ付与に取り組んでいる。当該研究では、平均的な消費者が、代替燃料の乗用車にどれほどの関心を持っているかに注目している。2014年6月から2017年6月にかけて5つの調査が実施されたが、同期間ではプラグインハイブリッド(PHEV)技術に対する関心向上の傾向は見られなかった。下図のとおり、プラグインハイブリッド(PHEV)を検討した消費者の割合は、2014年から2017年の間に、わずか数ポイントしか上昇していなかった。

 

 

さらに、下図のとおり、同州の充電ステーション数は倍増しているにも関わらず、公共のEV充電ステーションを見かけたことがある消費者の割合にも大きな変化がみられなかった。

 

また、本調査では、消費者が認知しているPHEV車種の数、インセンティブの認知度、HEV、PHEV、BEVの仕組みに対する理解度についても大きな変化がないことがわかった。2017年のPHEV販売数は、全米で新車全体の1%未満、カリフォルニア州で新車全体の5%未満であった。研究者は、消費者はPHEVを積極的に購入しておらず、これはPHEVの存在や便益を認知していないからと考察している。今回の研究では、PHEVへの理解度向上のための施策を提案しており、例えば、従来型のマーケティングやソーシャルマーケティングの実施、試乗会やイベントの実施、ディーラー向け教育プログラムの実施を提案している。本調査に関する詳細な内容は以下のリンク参照:

https://its.ucdavis.edu/blog-post/automakers-policymakers-on-path-to-electric-vehicles-consumers-are-not/

 

 

再生可能エネルギー

 

   ハワイ州の私営電力会社HECOが、ルーフトップソーラー向けの2つの新たなプログラムを開始

 

  • ハワイ州の私営電力会社HECO(Hawaiian Electric Companies)は、ルーフトップソーラーを新設した消費者向けに、新たに2つのプログラムを開始した。「The Smart Export」は、太陽光発電とエネルギー貯蔵システムを設置する消費者に対するプログラムであり、充電されたバッテリーからの電力放出に対してクレジットが得られ、毎月の電気代から相殺される。このプログラムでは、午前12時から午後9時、午後4時から午前12時の時間帯に00〜20.79セント/kWh(島によって異なる)を得ることができ、午前9時から午後4時は、既存の再生可能エネルギーで電力需要を賄えているため、クレジットは支払われない。「Customer Grid-Supply Plus」は、前者と同様に対価が支払われる内容だが、HECOが、系統の状態に応じて出力制御や発電制御を行うための装置を導入する場合に限定されている。クレジットは10.08〜20.08セント/kWh(島によって異なる)。この2つのプログラムは、2015年に終了した余剰電力買取制度(NEM: Net Energy Metering)の代替として設定されたプログラムである。

 

分散型の再生可能エネルギーの普及拡大は、同州の掲げる2045年までにRPS100%という目標を達成するための重要な要素である。HECOは、2017年には再生可能エネルギーによる発電量の割合が27%に達し、2020年の目標である30%に向けて順調に推移していると発表している。昨年稼働開始した109MWの新規太陽光発電のうち70%以上が個人のルーフトップに設置された。

 

今回の新しいプログラムに関する詳細については以下のリンク参照:

https://www.hawaiianelectric.com/the-hawaiian-electric-companies-to-launch-two-new-rooftop-solar-programs

 

HECO社の2017年のRPSに関するプレスリリースについては以下のリンク参照:

https://www.hawaiianelectric.com/hawaiian-electric-companies-achieved-27-percent-renewable-energy-in-2017

 

 

   PG&Eは、加州の2020年のRPS目標33%を、3年早い2017年に達成

 

  • PG&E(Pacific Gas & Electric)は、カリフォルニア州の2020年のRPS目標を3年前早い2017年までに達成できたと公表した。PG&Eは昨年、33%の電力を再生可能エネルギーで賄った。この33%という数値は、全電力会社に2020年目標値として課せられていた数値である。PG&E社はまた、全体の8%を温暖化ガスを排出しない発電方法によって賄ったと述べており、同発電方法にはRPS要件としてカウントされるものと、カウントされない原子力発電・大型水力発電が含まれる。同社は2030年の目標値であるRPS50%、また、同社が個別に設定したRPS55%(2031年)を前倒しで達成可能な見込みである。本件の詳細は以下のリンクを参照:

https://www.pge.com/en/about/newsroom/newsdetails/index.page?title=20180220_pge_clean_energy_deliveries_already_meet_future_goals

 

 

これから開催されるイベント

 

  • Grid Edge Innovation Summit

期間:2018年6月20日-2018年6月21日

場所:カリフォルニア州サンフランシスコ

主催者:GTM Research

URL:https://www.greentechmedia.com/events/live/grid-edge-innovation-summit

 

  • Silicon Valley Energy Summit

期間: 2018年6月21日

場所:カリフォルニア州スタンフォード

主催者:Stanford University, Precourt Energy Efficiency Center

URL:https://peec.stanford.edu/sves/2018

 

  • Intersolar North America

期間:2018年7月10日-2018年7月12日

場所:カリフォルニア州サンフランシスコ

URL:https://www.intersolar.us/

 

  • EES (Electrical Energy Storage) NORTH AMERICA

期間:2018年7月10日-2018年7月12日

場所:カリフォルニア州サンフランシスコ

URL:https://www.ees-northamerica.com/

 

  • Pathway to 2050

期間:2018年8月8日

場所:カリフォルニア州サクラメント

主催者:The Advanced Energy Economy (AEE) Organization

URL:https://info.aee.net/pathway-to-2050