2014年8月
Date: September 12, 2014
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【スマートグリッド】

  • 米エネルギー省は2年に一度発行されるスマートグリッドの普及、技術の進歩、スマートグリッドの今後のさらなる展開に向けての課題などについての現状報告を行うSmart Grid Systems Reportを発表。アメリカ再生再投資法(ARRA)によって資金提供を受けたプロジェクトの多くが成果を挙げており、スマートグリッドの更なる展開に貢献した。レポートの主だった点は以下。

o   2010年から2013年にかけて米国でのスマートグリッド展開にARRAからの約80億ドルを含む約180億ドルの資金が投入された。2011年の年間資金提供額は520億ドルであったが、2014年は250億ドルまで減少する。これはARRAが大規模資金を投入していたスマートメーターへの資金提供が縮小したことによる。

o   米国内では既に4600万台のスマートメーターが設置されており、2015年にはその数が6500万台まで拡大する予定。6500万台は現在使われている電力メーター全体1億4500万台の3分の1に相当する。

o   電力会社はスマートメーターへの投資から、蓄電、シンクロフェイザー、ソリッドステート・デバイス(半導体素子)など送配電システムのアップグレードへの投資へと移行している。

o   サイバーセキュリティーは政府にとっても重要な課題であり、業界関係者もこの問題に対して活発に取り組んでいる。アメリカ国立標準技術研究所(NIST)はこの動きを先導しているグループの一つであり、2010年にはGuidelines for Smart Grid Cybersecurity2014年にはFramework for Improving Critical Infrastructure Cybersecurityなどのガイドラインを発表している。

o   NISTはスマートグリッド技術の相互運用性の推進にも取り組んでおり、Framework and Roadmap for Smart Grid Interoperability Standardsにおいて標準の設定や今後の課題について言及するなどSmart Grid Interoperability Panelを設置し活動を行っている。

o   650億ドルの損害を引き起こしたハリケーンサンディーのような気象現象によって、電力システムの近代化や柔軟性の向上に対する意識が高まりつつある。

レポートの詳細は以下参照。https://www.smartgrid.gov/sites/default/files/doc/files/2014-Smart-Grid-System-Report.pdf

 

【省エネ】

  • 米エネルギー省はローレンスバークレー国立研究所にFLEXLABと名づけた省エネテストべッドをオープン。このラボでは建物の省エネ技術を実際に使われるのと同じ条件で実証することができる。4つのテストベッドがあり、その内の一つは日照条件の異なる状況を再現できるよう、回転させることが可能。バイオテクノロジー企業のGenentechがこの施設を利用する初めての企業として、自社の新しい本社ビルに使われる予定のシステムの実証を行う。その後PG&Eが同社のemerging technologies incentive programの中の次世代技術の検証を行うために利用する予定。詳細は以下参照。http://newscenter.lbl.gov/2014/07/10/department-of-energys-flexlab-opens-testbeds-to-drive-dramatic-increase-in-building-efficiency/

 

 

【エネルギー貯蔵】

  • Tesla Motorsは計画が進行していた同社のGigafactoryの建設地としてネバダ州を選択したと発表。他には候補地としてカリフォルニア州、ニューメキシコ州、アリゾナ州、テキサス州が挙がっていた。TeslaはPanasonicと提携し、2020年までに年間50GWh分の電池を生産するとしており、大規模生産によってリチウムイオン電池のコストの低下を狙う。Gigafactoryで生産された電池パックは2017年に販売開始を予定しているModel 3などのTesla自動車に使われる。http://www.teslamotors.com/about/press/releases/nevada-selected-official-site-tesla-battery-gigafactory

 

  • シャープはSmart Storageエネルギーソリューションをカリフォルニア州で販売開始、他州では2014年中に販売開始を予定している。Smart Storageエネルギーソリューションは商工業顧客が予測制御によって蓄電システムを管理し、電力会社からのデマンドチャージを減らすことを可能にする。このシステムは単体で利用することも太陽発電システムと統合して利用することも出来る。Smart Storageはサンディエゴにおいて18ヶ月以上に及ぶパイロットプロジェクトで実証済み。http://www.sharpusa.com/AboutSharp/NewsAndEvents/PressReleases/2014/July/2014_07_29_SmartStorageEnergyMgmnt.aspx

 

【イノベーションと起業家精神】

  • Cleantech Groupはクリーンテック業界におけるイノベーションの動向を示す四半期ごとのClean Energy Patent Growth Indexを発表。2014年第一四半期の主だった点は以下。

o   認可された特許数は690で、2013年第4四半期よりも225少なく、2013年第1四半期と比べても48少ない結果となった。

o   太陽発電関連の特許が最も多く251件、ついで燃料電池関連の162件、風力発電に関するものが123件、ハイブリッド/電気自動車関連が79件、バイオ燃料/バイオマス関連が52件。

o   企業別に見ると常に上位2位を争っているGeneral MotorsとToyotaがそれぞれ特許数で第1位、第2位となった。特許はほとんど燃料電池、ハイブリッド/電気自動車関連のものであったが、それぞれ1件ずつ太陽発電関連の特許も認可を受けた。

o   国別に見ると、日本が115件で最多、韓国の68件、ドイツの51件がそれに続いた。

o   州別に見るとカリフォルニア州が最多で85件、次いでミシガン州の43件、ニューヨーク州の26件という結果。

詳細は以下参照。http://www.cepgi.com/2014/07/the-clean-energy-patent-growth-index-cepgi-published-quarterly-by-the-cleantech-groupat-heslin-rothenberg-farley.html

 

【研究開発】

  • 米エネルギー省は新しいイニシアチブのもと、Public Access Gateway for Energy and Science (PAGES)を発表。米エネルギー省から資金提供を受けた研究プロジェクトに関する文献に無料でアクセスできるウェブポータルを運営し、研究者や起業家を支援することを狙う。今後年間2万から3万の論文や原稿を加えていく予定。詳細は以下参照。: http://energy.gov/articles/us-department-energy-increases-access-results-doe-funded-scientific-research

 

【再生可能エネルギー】

  • 米エネルギー省は風力発電業界の現状を報告するレポートの最新版である2013 Wind Technologies Market Reportを発表。主だった点は以下。

o   2013年追加された容量は1,087MWで合計18億ドルが投資された。2013年に追加された電力源の中では容量別で第4位となっているが、2012年には第1位であったことを考慮すると、2013年の伸びは控えめであった。

o   連邦政府は支援する姿勢を保っているが、洋上風力発電プロジェクトで建設が決まったものは未だない。内務省は2013年にオフショア風力発電のための連邦水域リースを開始しており、エネルギー省も風力発電の研究開発に多額に資金を投じている。

o   2013年の新規風力発電容量の95%は独立系発電事業者(IPP)に所有されている。既存の風力発電量全体を見ると、83%がIPP所有、電力会社は15%を所有している。

o   風力タービンの設計上の最大容量の平均は1.87MWで、1998年-1999年時の数値と比較すると162%の伸びとなっている。ハブ高さの平均は45%伸びて80メートル、ロータ直径の平均は103%伸びて97メートルとなった。

o   2013年の設置コストは1kW当たり1,630ドルで、2012年時よりも300ドル低下している。

o   風力発電による電力購入契約(PPA)の価格は国内でこれまで最低の$25/MWhを記録しており、2009年時点では$70/MWh近くまで高騰していたことを考えると大きく低下してきていることがわかる。

o   短期間の生産税額控除(PTC)延長によって新規プロジェクトの展開が加速し、2014年から2015年にかけて稼動が開始される予定である。PTCの延長は既に打ち切られたため、2015年以降新規の風力発電プロジェクトの先行きは不透明である。

 

レポートの詳細は以下参照。http://energy.gov/sites/prod/files/2014/08/f18/2013%20Wind%20Technologies%20Market%20Report_1.pdf

 

  • 米エネルギー省のエネルギー効率・再生可能エネルギー局は2013 Distributed Wind Market Reportを発表。主だった点は以下。

o   2013年分散型風力発電の新規設置は2700ユニットで、合計容量は30.4MWであった。2012年と比較すると83%減少した結果となっている。

o   国内の需要が伸び悩んだため、米国の製造業社は国外市場に集中する結果となった。輸出量は2012年の8MWから70%伸びて13.6MWとなった。

o   新規に設置された分散型風力発電は、40%が住宅用、26%が農業用、20%が商工業用、14%が政府関係やその他施設用となっている。

o   2013年の連邦政府、州政府、電力会社からの分散型風力発電へのインセンティブの合計は1540万ドルとなっており、太陽発電に対するインセンティブと比較すると著しく低い。

o   ばらつきがあるものの、2013年の分散型風力発電の容量ベースで見た平均設置価格は1kW当たり6,940ドルであった。

o   太陽光発電業界と同じように、初期費用の負担を減らすための第三者融資を提供する業者も出てきている。

レポートの詳細は以下参照。http://energy.gov/sites/prod/files/2014/08/f18/2013%20Distributed%20Wind%20Market%20Report_0.pdf
 

【カンファレンス、ワークショップなど】

  • Soft Grid Conference:9月10日-9月11日(カリフォルニア州メンロパーク)スマートグリッド業界に関連するビッグデータ、アナリティクス、ソフトウェアプラットフォームなどがテーマの会議。http://www.greentechmedia.com/events/live/the-soft-grid-2014

 

  • Energy Storage North America:9月30日-10月2日(カリフォルニア州サンノゼ)今回の会議は顧客サイトに設置する蓄電設備、運輸関連、電力会社スケール蓄電の3つのセッションに分かれて行われる。 http://www.esnaexpo.com/

 

California Independent System Operator (CAISO) Annual ISO Stakeholder Symposium:10月22日-10月23日(カリフォルニア州サクラメント)政府関係者、規制機関、業界関係者など多くの参加者が集まり、未来の電力網の運営に関するトピックについて議論する米国西部では最大のイベント。満席になるのが早いため、早めの登録が推奨されている。http://www.caiso.com/informed/Pages/MeetingsEvents/PublicForums/Default.aspx