2013年4月前半
Date: April 25, 2013
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【スマートグリッド】

  • アメリカ国立標準技術研究所(NIST: National Institute of Standards and Technology)はスマートグリッドの研究開発機会に関する2つの報告書を発表。

 

一つ目のレポートTechnology, Measurement, and Standards Challenges for the Smart Gridでは、NISTとコロラド大学と国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が提携しているRenewable and Sustainable Energy Institute (RASEI)の出資を受けて開催された2012年8月のワークショップで議論された課題についてまとめたもの。これらの課題は以下4つの分野に分けられている。

1) 電力網への大規模/ユーティリティー規模の再生可能エネルギー電源の統合

2) 電力網への分散電源、蓄電設備の統合

3) 省エネ、デマンドレスポンス、負荷制御

4) 電力網の効率のよさ、信頼性、安全性と安定性

報告書の詳細は以下参照。http://www.nist.gov/smartgrid/upload/Final-Version-22-Mar-2013-Smart-Grid-Workshop-Summary-Report.pdf

 

同じワークショップの成果をまとめた2つ目のレポートStrategic R&D Opportunities for the Smart Gridでは、スマートグリッドを実現するための課題や研究開発の機会についての概要をまとめている。課題としてはプライバシーやサイバーセキュリティーに関する問題、蓄電の活用、相互運用性標準、電力網計画や運用のモデルなどが上げられている。研究開発の機械として5つ上げられているのは以下。

1) 電力システム計画や運営においてスマートグリッドの可能性を最大化

2) デマンドレスポンス、直接負荷制御、省エネを活用するためのツールや技術の開発

3) 通信と相互連結を強化するためのインフラの拡大とアップグレード

4) サイバーセキュリティと不測時の対応力を確実にするインフラの整備

5) スマートグリッドへの投資を促進し、規制のフレームワークにも貢献できるモデルの作成

報告書の詳細は以下参照。http://www.nist.gov/smartgrid/upload/Final-Version-22-Mar-2013-Strategic-R-D-Opportunities-for-the-Smart-Grid.pdf

  • PJMはデマンドレスポンスのリソースを卸売価格と同額で買い取ることを規定した連邦エネルギー規制委員会 (FERC) 命令745号の履行を受けて、デマンドレスポンスへの参加がどのように拡大したかについて報告書を発表。主だった点は以下。
    • FERC命令745履行後、7ヶ月間で133, 466MWhをもとに、デマンドレスポンスで870万ドルの収益が出た。同命令履行前は、41ヶ月間で 166, 276MWhのリソースから710万ドルの収益を上げていた。
    • 命令745履行前は11%にとどまっていた負荷削減は、履行後44%まで伸びている。これらは一日前市場で確約されたもの。
    • 2012年の夏の非常時でないピーク時3日間で集められたデマンドレスポンスリソースは228MW から305MWという結果。命令履行前は3MWから62MWであった。
    • デマンドレスポンスの活動は増えているが、参加全体はいまだ多くはない。2012年7月にはデマンドレスポンスに参加が可能なリソース全体のうち3%しか活用されていなかったことを考えると、卸売価格の設定がデマンドレスポンスへの参加を促すほど高くはないのではないかと考えられる。

この報告書2012 Economic Demand Response Performance Reportの詳細は以下参照。http://www.pjm.com/sitecore%20modules/web/~/media/markets-ops/dsr/economic-dr-performance-report-analysis-of-activity-after-implementation-of-745.ashx

 

【電気自動車】

  • 先進車両技術の開発を促進するための米エネルギー省と産業界との提携によるU.S. DRIVE (Driving Research and Innovation for Vehicle efficiency and Energy sustainability)は2012年の成果報告書を発表。その中で米エネルギー省から資金を受けた研究開発プロジェクトや車両電子工学、燃料電池、素材、コードとスタンダード、電力網との相互作用、水素貯蔵、水素の生産と輸送についてなど幅広い分野の研究に言及している。https://www1.eere.energy.gov/vehiclesandfuels/pdfs/program/2012_usdrive_accomplishments_rpt.pdf
  • カリフォルニア州の Governor’s Office of Planning and Research (OPR ) とthe Division of the State Architect は報告書Plug-In Electric Vehicles: Universal Charging Access Guidelines and Best Practices の草稿を発表。アクセシビリティの標準化や障害を持つアメリカ人法(ADA: Americans with Disabilities Act)に従った電気自動車の充電ステーションの設置のガイドラインなどについて言及している。OPRはこの草案に関して5月24日まで一般からの意見を受け付けている。詳細は以下参照。http://opr.ca.gov/news.php?id=43

【研究開発】

  • カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC) はPublic Interest Energy Research (PIER)プログラムから資金提供を受けた研究プロジェクトについて年間レポートを発表。2012年は30の研究プロジェクトに2800万ドルが提供され、マッチングファンドとして1960万ドルが集まった。研究は省エネ、再生可能エネルギー、インフラなどに関して行われた。個々のプロジェクトでは、自動デマンドレスポンス、ソーラー発電の予測技術、コジェネレーション、再生可能エネルギー源を統合したマイクログリッドの実証や蓄電などについて研究が行われた。2012年はPIERプログラムから資金提供を行った最後の年で、今後はElectric Program Investment Charge (EPIC)へと移行する。PIER2012報告書の詳細は以下参照。http://www.energy.ca.gov/2013publications/CEC-500-2013-013/CEC-500-2013-013-CMF.pdf

 

【連邦政府関連】

  • オバマ政権は2014年の3兆7780億ドル規模の予算案を提出した。今後10年で1兆8000億ドルの赤字削減、2013年の強制歳出削減を増税などで置き換えるとしている。これは歳出削減のみによって10年で赤字削減を行うという共和党の提案とは大きく異なっている。米エネルギー省は8%もの増額を受けることになっており、クリーンエネルギー、先端製造アジェンダ、先進車両技術などの分野に資金が提供される。しかし2014年の予算が確定するまでには、数ヶ月がかかるであろうと予測されている。予算案の詳細は以下参照。http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/budget/fy2014/assets/budget.pdf

 

【再生可能エネルギー】

  • 米国で初の商業用強化地熱システム(EGS)からの電力供給がネバダ州で開始された。このOrmat Technologies’ Desert Peak 2 EGSプロジェクトでは発電量を38%拡大し、1.7MW分を追加供給できるようになった。この強化地熱システムでは、以前は採算が合わないとされていた地熱源でも新しい技術を使用することによって電源として利用できるようになる。この技術では、地価の高温の岩石に冷水を送り、そこから発生する蒸気を利用する。ニュースの詳細は以下参照。http://energy.gov/articles/nevada-deploys-first-us-commercial-grid-connected-enhanced-geothermal-system

 

【市場情報 企業買収、新規株式公開など】

  • Bloomberg New Energy Financeによると2013年第1四半期のクリーンエネルギー関連投資は世界全体で406億ドルで、昨年度の比較すると22%減少したとのこと。この現象は生産税額控除(PTC)の期限満了などに関する政策の先行きが見通せないこと、中国やブラジルなど活発な市場への融資が遅れていること、太陽光発電の技術コストが急激に低下したことなどによるもの。日本市場はこの動向に反して資金投資が82億ドルまで増加しており、このうち小規模太陽発電への投資が67億ドルで、昨年の2倍以上となっている。http://about.bnef.com/press-releases/weakest-quarter-for-clean-energy-investment-since-2009/
  • ユーティリティ規模の薄膜PVの製造を行うFirst Solarはサンノゼに拠点を置くソーラー関連ベンチャーのTetraSunを買収する計画を発表。これにより、First SolarはTetraSunのPV技術を利用し、商業用屋根上発電市場に参入することが可能になる。またFirst SolarはJX日鉱日石エネルギーと提携し、この技術を日本市場へ参入させることを検討しているとのこと。新技術を使った製品の生産開始は2014年後半を予定。プレスリリースは以下参照。http://investor.firstsolar.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=755337

【イノベーションと企業家精神】

  • SAPが行っているイノベーションを促進し、競争力を維持するための取り組みについての記事がSan Jose Mercury Newsに掲載された。2011年2月、SAPは”AppHaus”というベンチャー企業を模した施設を作った。施設内で開発を行うのはSAPの社員であってベンチャー企業の社員ではないが、起業家カルチャーを取り入れた環境の中で、AppHausのデベロッパーたちはたった3ヶ月程度で新しいアプリケーションを完成させていく。大企業の制約の中では不可能なスピードで開発を進めることができているとのこと。このシリコンバレーのAppHausの成功を受け、SAPは世界中でこの他6箇所のAppHausを展開している。http://www.mercurynews.com/business/ci_22962850/software-giant-sap-innovates-an-infusion-silicon-valley

 
【カンファレンス、ワークショップなど】

  • The Future of Energy Summit:4月22日-4月24日(ニューヨーク市) Bloomberg社主宰の新エネルギー関係の会議。金融関係者と産業関係者の接点をつなぐ会議 http://about.bnef.com/summit/program/
  • CalChargeとローレンスバークレー国立研究所 (LBNL)によるLBNL Energy Storage and Distributed Resources Groupのオープンハウス:5月3日 (バークレー) 蓄電ビジネス関連企業に対し、このグループに関する情報を提供するとともに、研究者とのネットワーキングも推進する。http://www.calcharge.org/event-registration/?ee=134
  • Electricity Storage Association(ESA) 年次会議:5月20日-5月22日(サンタクララ)http://www.electricitystorage.org/news/entry/call_for_abstracts_open_for_23rd_esa_annual_conference
    • The Sixth annual Beyond Lithium Ion conference:6月4日-6月6日 (コロラド州ボールダー) 蓄電技術開発の動向、電池に関する研究の進捗状況の議論、次世代技術の抱える問題や事業化の機会などについて http://www.beyondlithiumion.org/web/about.php
    • Connectivity Week 2013:6月11日-6月13日 (サンタクララ) サイバーセキュリティ、エネルギーの未来、モノのインターネット(Internet of Things)の3つが主なテーマ。http://www.connweek.com/2013/
    • IEEE Photovoltaic Specialists Conference (PVSC) : 6月16日-6月21日 (フロリダ州タンパ) PV業界のトップサイエンティスト、エンジニアを迎えての1週間に及ぶ会議。http://www.ieee-pvsc.org/PVSC39/
    • The annual Silicon Valley Energy Summit:  6月28日 (スタンフォード大学) Precourt Energy Efficiency Center主催。最新技術動向、政府規制、エネルギー政策などについて。http://peec.stanford.edu/events/2013/sves/